3月中旬、KEK つくばキャンパス周回道路のほぼ中央に位置するCOI棟に、構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡が搬入されました。
透過型電子顕微鏡(TEM)は試料のナノスケールの形態や結晶構造を知ることができますが、電子を数百キロボルトで加速して試料に当てる小さな加速器を内蔵した分析機器とも言えます。 2017年のノーベル化学賞は、生物試料の観察のためにTEMを改良したクライオ電顕の開発者に授与されました。 クライオとは低温という意味で、クライオ電顕は試料を凍結したまま観察することができるので、タンパク質などの壊れやすい生体高分子、特に分子量の大きなタンパク質複合体の観察に適しています。 現在、構造生物学の分野では、従来の放射光を用いたX線構造解析に加えて、新たな構造解析手法としてクライオ電顕の活用が大きく発展してきており、X線と並ぶ生体高分子の立体構造解析手法になりつつあります。
物質構造科学研究所 構造生物学研究センターは、クライオ電顕を使って研究成果を挙げるとともに、構造生物学分野でのクライオ電顕共同利用の中心的役割を果たして行きます。
クライオ電顕の搬入から現在の状況、観察風景を写真でご紹介します。
関連情報:物構研 構造生物学研究センター