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大柳 宏之氏、XAFS2018にてエド・スターン賞を受賞

物構研トピックス
2018年8月 7日

7月27日、ポーランドのクラコフ市で開催された17th International Conference on X-Ray Absorption Fine Structure(XAFS2018)において、2018年度International X-ray Absorption Society (IXAS)の表彰式が行われ、PFを利用した研究によりKEK 物構研 協力研究員の大柳 宏之 氏がロナルド・フラーム教授(ベルク大学ヴッパータール)とともに、IXAS最高の賞である The Edward Stern Outstanding Achievement Award(エド・スターン賞)を受賞しました。

この表彰は、XAFSおよび関連分野の科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより関連科学技術に携わる研究者の意欲の向上を図り、XAFSおよび関連分野の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。3年毎に開かれるXAFS国際会議において授与されます。

XAFS2018の会場

受賞対象となったのはフォトンファクトリー(PF)で行われた「局所構造と機能の関係性」に関する一連の研究です。入射角を制御しながら結晶を光軸の周りに回転させて蛍光検出を行う独自の偏光依存XAFS測定法による研究業績が、国際的に評価されました。
同氏は、1980年代に故 松下 正 教授とともにPF初のXAFS専用ステーションBL-10Bを立ち上げ、当時筑波大学に在籍していた白川 英樹 教授(2000年ノーベル化学賞受賞)と共同でポリアセチレンの導電性と局所構造の関係を明らかにしたのをはじめ、ミオグロビンのヘム鉄局所構造とスピン状態など、多くの成果をあげました。また同氏は、同手法を高温超伝導体単結晶へ適用し、超伝導転移温度近傍で格子異常現象を見出しました。この成果は高温超伝導研究者にも大いに注目を集め、PFを利用したローマ大学との国際コラボレーションが世界を先導することとなりました。
最近では、電子励起下での「構造と機能」に注目して光誘起構造変化や中間状態に関する一連の研究を行っています。

同氏はIXASの執行委員会の幹事/会計、副議長、議長として長年国際的に貢献してきたことも評価されました。産総研退職以後、KEK協力研究員およびNSRL(中国科学技術大学)客員教授として現在も積極的に後進の指導にあたり、研究活動や国際会議の支援にも携わっています。

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