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物構研 年頭所感

物構研トピックス
2018年1月 5日

明けましておめでとうございます。

物質構造科学研究所(物構研)は1997年の高エネルギー加速器研究機構発足と同時にスタートしました。昨年が開所20年、物構研も二十歳の成人となりました。

物構研は、放射光・中性子・ミュオン・低速陽電子など様々な量子ビームを有効に使って、生体物質を含む様々な物質材料の構造を調べ、それらの性質や生命の起源を解き明かし、人類の発展を支える研究を行っています。これらの研究は、大学共同利用機関法人である高エネルギー加速器研究機構の研究所として、所内の研究者だけでなく、外部の大学や研究所さらには産業界からの多くの利用者によって行われています。

物構研は、単一の量子ビームによる研究だけでなく、複数の手法を組み合わせて行う研究(マルチプローブ研究)を積極的に進めています。マルチプローブ研究は、陸上競技のリレーや駅伝に例えられます。リレーや駅伝では、個々の走者が世界一でなくても、トップになれます。ただし、そのためには、バトンタッチの技術や、どの区間に誰が走るかなどの作戦が重要です。一つのプローブで得られた情報を最大限引き継ぎ、いかに次のプローブでスムーズに発展させるかが重要なのです。物構研は、所内外の研究者が協力し、複合量子ビーム研究を活性化できる世界でも数少ない研究所です。一人一人の走力(各量子ビームの先端性)と、バトンタッチなどの技術や作戦力(施設の使いやすさや、異なるビームを連携して利用できる運営形態、課題申請方式、さらには全体の研究を見渡せる司令塔の能力)を高めることで、世界的にもユニークな物質材料生命科学の研究を発展させていきたいと考えています。

物構研を取り巻く環境は、速いスピードで大きく変化しています。変化に対応するために、各量子ビームの高性能化や将来計画などの明確なビジョンと、量子ビームを用いた研究の世界的現状や将来の方向性に対して広い視野を持つことが求められています。その上で、将来の発展に向けて、柔軟な考え方で取り組む必要があります。

様々な手法の技術を高めると共に、それら手法の協奏的利用で人類社会の発展に貢献していくことを二十一歳の誓いと致します。

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。