2019年1月28日から2月2日、アフリカ ガーナ共和国の首都アクラにあるガーナ大学において、第2回アフリカ光源加速器会議(AfLS)が開催された。
第1回は2015年にフランスで開催されたので、アフリカでは初開催となる。
参加者は300名を超え、実に前回の倍以上、その大多数がアフリカからの参加であった。
アジア/オセアニアからの唯一の参加者となった 物構研 放射光 阿部 仁 准教授は、
フォトンファクトリーが立ち上がった1970年代から1980年代にかけて欧米各国の科学者たちが日本で放射光実験ができるよう支援したことを念頭に、今度は私たちが恩返しをする番だという思いを持って参加を続けている。
ガーナ共和国はアフリカ西部にあり、大西洋のギニア湾に面する。その国境は西をコートジボワール、北をブルキナファソ、東をトーゴと接し、面積は日本の約3分の2。 日本からの直行便はなく、ヨーロッパなどを経由することになる。
既に、ガーナ共和国はアフリカ放射光を支援することを決めており、アフリカにおける科学的インフラの構築として、アフリカ放射光への期待は大きい。 会議ではガーナのアクフォ=アド大統領も挨拶をしたほどだ。
議長の Simon Connell 氏(ヨハネスブルグ大学教授)は、経緯について説明し、アフリカからの頭脳流出を防ぐためにもアフリカに放射光実験ができる施設が必要と述べた。
また Sekazi Mtingwa 博士からは、アフリカ放射光の実現に向けたロードマップが示された。
阿部 准教授は、放射光を使ったX線吸収微細構造(XAFS)実験でどんなことがわかるのか、自身の研究例を示しながら講演した。
講演後、会場のあちこちでたくさんの質問を受けるなど、参加者の関心はとても高く、フォトンファクトリーで実験してみたいという声も多かったという。
この会議は、全アフリカ結晶学会議と同時開催され、アフリカ結晶学会(AfCA)が設立された。次回のアフリカ光源加速器会議は2020年に開催が予定されている。
フォトンファクトリーは引き続き、研修生受け入れなどアフリカ放射光に協力していく予定である。
この会議のようすは、アメリカ物理学会(American Physical Society)でも詳しく報じられた。阿部 准教授へのインタビューも載っているので、承諾を得て引用させていただく。
APS NEWS March 2019 (Volume 28, Number 3), International News
African Light Source Garners Critical Political Backing by Daniel Garisto
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