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今年もつくばSKIPアカデミーおよび筑波大学GFESTの生徒がSBRCの実習に訪れました

物構研トピックス
2020年1月31日

1月26日(日)、筑波大学が主催する科学技術人材育成プログラム「つくばSKIPアカデミー」の小中学生35名と「筑波大学GFEST」の中高校生4名が、筑波大学の学生スタッフとともにKEKつくばキャンパスを訪れました。つくばSKIPアカデミーの生徒が物構研 構造生物学研究センター(SBRC)の実習を目的にKEKを訪問するのは、今年の冬で3回目となりました。

*つくばSKIPアカデミーは、JSTの次世代科学技術人材育成事業「ジュニアドクター育成塾」に採択され、実施されています。 つくばSKIPアカデミーは、つくば市内の様々な研究機関での体験を通して、サイエンスについての幅広い知識・興味を深めることを目的としています。 また、筑波大学GFESTは科学・技術に関する強い興味と関心がある高校生向けのプログラムです。

生徒たちは、千田 俊哉 構造生物学研究センター長のオリエンテーションを受けた後、放射光実験施設フォトンファクトリー(PF)を見学しました。「回っている電子はどこに行くの?」「電子の軌道はどうやって曲げているの?」といった質問が出ました。

昼食をはさんで、午後はいよいよ実験です。長瀬 里沙 研究員による説明の後、7つの班に分かれてタンパク質の結晶化実験を行いました。マイクロピペットを使って、タンパク質液(卵白リゾチウム)と結晶化液(塩と酢酸の混合液)をガラスの上に乗せ、裏返して結晶化プレートに並べます。魔法の液(シーディング用の微結晶)を加えたものとそうでないもので、結晶のでき方がどう違うかを比べました。
観察後、ちょっと難しい「結晶すくい」と「結晶の凍結」も体験しました。クライオループと呼ばれる、金魚すくいのミニチュアのような道具で、長さ0.2 mmほどに成長した結晶をすくい、そのまま液体窒素に入れて凍結します。生徒たちは少し力を加えると割れてしまうタンパク質の結晶に苦労しながらも実際に研究者が行なっている実験をやり遂げていました。

筑波大学GFESTの中高校生は、さらに、2種類の溶液の中に電子を運ぶ働きをするタンパク質の結晶を移し、その後の変化を調べる実験も行いました。電子を与える溶液とそうでない溶液に浸けた場合で、結晶が変化するかどうかを顕微鏡で確認しました。その後、なぜ結晶に変化が起きたのか千田 美紀 特任助教から解説を受けました。

千田センター長からご挨拶
実験の説明をする長瀬研究員
結晶化をやってみよう
顕微鏡のモニターで確認しながら結晶をすくいます
ゴーグルをして結晶の凍結作業
千田特任助教の説明を受けるGFESTの中高生

最後に、千田センター長から挨拶があり、科学を志す生徒たちに「研究者は自分で答えを考え出すだけでなく、その考えを多くの人に伝えられるようにならなくてはなりません。これからは国際化の時代です。研究者を目指す人もそうでない人も英語を学んで多くの人とコミュニケーションが取れる人になってください。」とアドバイスしました。
SBRCスタッフに聞きたいことがたくさんあって、帰りのバスに乗る時間ギリギリまで質問を続ける生徒もいたそうです。

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