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KEK公開講座「生命の謎を探る”ハイテクな顕微鏡たち”」を開催しました

物構研トピックス
2021年10月14日

10月9日、今年度3回目のKEK公開講座が開催されました。講師は物構研 構造生物学研究センター(SBRC)センター長であり放射光科学第二研究系 研究主幹の千田 俊哉 教授です。
講演は例年通りKEKつくばキャンパスの小林ホールで行われましたが、会場に来客はなく参加者およそ80名はウェビナーによるオンライン参加でした。また、例年は関連した2講演を同日に行なっていましたが、今年はオンライン開催であることを考慮して1日1講演としています。

KEKからのお知らせ KEK公開講座2021(第3回/第4回)オンライン開催のお知らせ

公開講座会場のようす

講演ではまず人間の体の中のタンパク質のはたらきについて説明した後、タンパク質はとても小さいため、X線や電子線のような道具をうまく使って調べるということを説明しました。SBRCではフォトンファクトリーの放射光によるX線構造解析やクライオ電子顕微鏡による単粒子解析を用いてタンパク質のかたちとその機能を調べています。その例として、がん発生の仕組みを調べたり、COVID-19などの感染症の薬を作るための基礎研究を挙げながら、タンパク質のかたちが機能と深く関係していることを示しました。
また、放射光源・記録媒体・検出器の進歩によってタンパク質の結晶からX線回折データを得るための時間がどんどん短くなってきたこと、世界中の研究者が自由に使えるタンパク質のかたちのデータベース(Protein Data Bank; PDB)には、放射光X線の登場によって数多くのタンパク質のかたちが記録されるようになったことが示されました。PDBには、これまでフォトンファクトリー(PF)の放射光を使って分かったタンパク質が5千以上も蓄積されているそうです。さらに、これまでタンパク質の構造解析の王様だったX線と並んで、今はクライオ電子顕微鏡も活躍していることも示しました。

講演中には多くの質問が寄せられました。どうして構造生物学を志したのか、という問いや、構造解析に関する専門的な質問もありました。司会を担当したPFの若林 大佑 助教は一つ一つ丁寧に取り上げ、特にPFのビームライン技術に関する質問には「これは私が答えるべき質問ですね」と自ら回答していました。

講演のようすは後日、YouTubeのKEKチャンネルにて公開される予定です。

講演中の千田教授
司会を担当したPFの若林 大佑 助教
配信を担当したKEK広報室の松井 龍也さん(左)と髙橋 将太さん

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