「私にスピンをわからせて!」(わたスピ)からスピンオフしたコラムのコーナーです。
本筋のスピンの話からは脱線するけれど、制作過程で飛び出した、わたスピ読者にぜひ聞いてほしいお話です。
昨今、ギリシャ文字といえば新型コロナウィルスの変異株を想像してしまいますが、物理学、特に量子力学ではギリシャ文字がよく使われます。
量子力学形成の過程でギリシャ語が使われたわけでもないのに、なぜギリシャ文字を使うのでしょう。これにはアルファベット26文字では足りないからなど諸説ありますが、英語やドイツ語でも通常用いない文字に特定の意味を与えることで数式などが分かりやすくなっている例は多くあります。
例えば、数学では、θ(シータ)といえば角度を指すというイメージを持つ方は多いでしょう。また、円周率はπ(パイ)で表されますが、これもギリシャ文字の16番目の文字で、ο(オミクロン)の次にあります。4番目のΔ, δ(デルタ)にもたくさんの意味が割り当てられていますが、微分などで微小な量を表すときに見たことがあるのではないでしょうか。足し合わせる記号としてはΣ(シグマ)が使われます。物理学では、λ(ラムダ)と言えば波長を表しますし、ρ(ロー)は密度、オメガは大文字で書けば電気抵抗の単位[Ω]になり、小文字で書けば角速度を表す文字ωです。このように、一種の記号のような使い方(この場面でこの文字が出てくれば暗黙のうちに役割が決まっている)例がたくさんあります。
同じように、量子力学でψ(プサイ)やφ(ファイ)と言えば、波動関数を指すのが慣例になっています。
近い将来、ファイ株やプサイ株がニュースの見出しになることがあるかもしれませんね。
ギリシャ文字の一覧を以下に示します。
| 大文字 | 小文字 | 読み | |
|---|---|---|---|
| 1 | Α | α | アルファ |
| 2 | Β | β | ベータ |
| 3 | Γ | γ | ガンマ |
| 4 | Δ | δ | デルタ |
| 5 | Ε | ε | イプシロン |
| 6 | Ζ | ζ | ツェータ |
| 7 | Η | η | イータ |
| 8 | Θ | θ | シータ |
| 9 | Ι | ι | イオタ |
| 10 | Κ | κ | カッパ |
| 11 | Λ | λ | ラムダ |
| 12 | Μ | μ | ミュー |
| 13 | Ν | ν | ニュー |
| 14 | Ξ | ξ | クサイ |
| 15 | Ο | ο | オミクロン |
| 16 | Π | π | パイ |
| 17 | Ρ | ρ | ロー |
| 18 | Σ | σ | シグマ |
| 19 | Τ | τ | タウ |
| 20 | Υ | υ | ウプシロン |
| 21 | Φ | φ | ファイ |
| 22 | Χ | χ | カイ |
| 23 | Ψ | ψ | プサイ |
| 24 | Ω | ω | オメガ |
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