3月25日「令和5年度 退職記念最終講義」がハイブリッド形式で開催され、3月末日をもって退職となる、小杉信博 物質構造科学研究所 所長の最終講義が行われました。
講演は「物構研第5代所長としての6年間を振り返る」と題し、冒頭では「6年前に何を思って物構研に来たのか」に言及しました。1982年にフォトンファクトリー(PF)が運転を開始した時期には、加速器やビームラインの建設協力に携わったことや、PFユーザーとして共同実験に来ていたことを話しました。また、分子科学研究所に所属していた約25年の間には、KEKの機構化による物構研の誕生やPFの次期計画などの重要な局面において、外部の有識者として運営や評価に深くかかわってきました。約40年の経験を踏まえて、所長着任前に物構研に関して考えていたことを振り返りました。
所長就任後は、こうした知見に基づき、まず、実験施設と研究系のミッションを明確化するため、放射光関係の改組や低速陽電子実験施設の設置に取り組みました。その後、クライオ電子顕微鏡を核にした実験棟、量子ビーム連携研究センター(CIQuS)、新領域開拓室(S.I.Center)の新設など、物構研の研究環境を最大限に生かし、国内全体の研究分野コミュニティに貢献するための統合型量子ビーム科学の研究構想に向けた数々の施策の実現に尽力しました。 最後に「着任前に考えていたことを、とにかくぶれずに思う存分やってこられました。」と締めくくりました。
小杉所長の6年間の功労に、敬意と謝意を表したいと思います。
最終講義は、YouTube物構研チャンネルで視聴できます。