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量子ビームで食品科学に迫る!物構研での研究が明らかにする「食」の秘密

物構研トピックス
2025年2月12日

物構研では、日々の生活に欠かせない「食」について、加速器を用いた最先端の技術を用いてその仕組みを科学的に解明する取り組みを行っています。

例えば、PF(フォトンファクトリー)では、チョコレートの品質を左右する「テンパリング」という工程で、油脂の結晶構造がどのように変化するのかをリアルタイムで観察する研究が進められました。この研究では、チョコレートの滑らかな口どけや風味の秘密が、油脂の結晶構造に深く関係していることを探求しました。他にも、大強度陽子加速器施設J-PARCでは、メレンゲなど食べ物の食感を軽くするための「泡」を保持するための製法に着目した研究が進行中で、泡の表面の違いを分子レベルで調べる実験を行っています。

また、物構研では国際連携も積極的に進めています。今年度は、豪州原子力科学技術機構(ANSTO)からエリオット・ギルバート博士を短期招聘(しょうへい)し、所内外の研究者と食品科学に関する研究会やセミナーを各地で開催しました。博士は中性子を始めとした量子ビームを用いた食品科学のパイオニアですが、これらの研究会やセミナーを通して日本における食品科学の盛り上がりを感じ取られたそうで、さらに密接な連携を模索していくための議論を行っていく予定です。

これらの研究は加工食品の健康維持などの機能性向上に寄与する可能性を秘めています。私たちの食卓を支える食品科学の研究成果にご期待ください!

エリオット・ギルバート博士が左側に座り、5人の研究者が笑顔で彼を囲んでいる

セミナーの様子。ハイブリッドで開催された

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