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中性子ビームやミュオンビームなどの量子ビームは、物質の構造やダイナミクスの解明に不可欠な手法として活用されています。本スクールでは、世界的に活躍する研究者が講師として集結し、大竹 淑恵 校長(日本日本中性子科学会長・理化学研究所)による中性子科学の基礎講義を皮切りに、中性子回折、弾性・非弾性散乱、反射率測定、イメージング、ミュオンスピン回転・緩和・共鳴(μSR)、ミュオン特性X線などの量子ビーム科学の主要分野について、両ビームの特徴や原理から物質科学への応用までを幅広く講義しました。各講義後には、受講生から活発な質問が寄せられ、理解を深める場となりました。
2日目には、JRR-3とMLF の施設見学を実施し、受講生は最先端の量子ビーム施設の運用現場を体感しました。
講義の後には受講生から質問が寄せられた
JRR-3見学の様子
MLF ビームライン(BL)03 iBIXの見学の様子
MLF ミュオンD1エリア見学の様子
3日目と4日目は、実習ビームラインごとに分かれ、各ビームラインスタッフの指導のもとで実習が行われました。受講生は試料作成、試料設置、データ取得、データ解析、発表資料作成、発表練習、成果発表に至る一連の研究プロセスを経験しました。4日目の夕方に発表の練習に入るビームラインもあれば、実験データの取得を続けるビームラインもあり、進捗状況はそれぞれ異なっていました。
BL02の試料作成の様子
BL15の試料作成の様子
S1の試料設置の様子
BL22の試料設置の様子
成果発表会の会場の様子。受講生のほか、ビームラインスタッフや関係者など多くの人が集まった
成果発表会の様子
最終日はビームラインごとに研究成果を発表しました。受講生、講師、各装置スタッフの投票の結果、今年のプレゼンテーション賞は以下のビームラインが受賞しました。
第1位:BL23 POLANO
第2位:ミュオン U1A
第3位:ミュオン D2
BL23のメンバーは受賞挨拶の中で、「BL23のスタッフだけでなく、スクールのスタッフの皆さま、ありがとうございました」と述べました。
大竹校長とBL23 POLANO の受講生
大竹校長とミュオン U1A の受講生
大竹校長とミュオン D2 の受講生
閉会式では、スクール最終日まで参加した受講生全員が、大竹校長から本スクールの修了証を一人一人手渡しで受け取りました。
最後に大竹校長は「皆さんは科学・友情・国際的な知識のいずれか、あるいは複数を確実に得たはずです。10年後、20年後、30年後になっても、この経験は皆さんの中に生き続けるでしょう。次の世代にも、ぜひこの機会を届けてください。そして、国境を越えて大型施設で学ぶことの素晴らしさを伝えてください」と挨拶し、国際的な量子ビームコミュニティを担う未来の研究者たちに向け、激励と期待を送りました。
※本スクールは国際原子力機関(IAEA)の協賛を受けて開催されました。
大竹校長から修了証を受け取った
中性子非弾性散乱・準弾性散乱
ミュオン