IMSS

AONSA中性子スクール/中性子・ミュオン スクール2025開催

物構研トピックス
2025年12月26日
スクールの集合写真。前列に講師、およそ50人が4列に並んでいる

©CROSS

第14回AONSA中性子スクール・第9回中性子ミュオンスクール(The 14th AONSA Neutron School / The 9th Neutron and Muon School:NMS2025)が、2025年11月17日から21日にかけて、大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)およびAYA'S LABORATORY量子ビーム研究センター(AQBRC)を会場として開催されました。今年は両スクールの共同開催となり、例年以上に大規模に実施されました。アジア・オセアニアを中心に多数の大学院生・若手研究者が参加し、5日間にわたり中性子科学、ミュオン科学の基礎から実践までを集中的に学びました。

講義と施設見学:中性子科学、ミュオン科学を横断的に学ぶ

中性子ビームやミュオンビームなどの量子ビームは、物質の構造やダイナミクスの解明に不可欠な手法として活用されています。本スクールでは、世界的に活躍する研究者が講師として集結し、大竹 淑恵 校長(日本日本中性子科学会長・理化学研究所)による中性子科学の基礎講義を皮切りに、中性子回折、弾性・非弾性散乱、反射率測定、イメージング、ミュオンスピン回転・緩和・共鳴(μSR)、ミュオン特性X線などの量子ビーム科学の主要分野について、両ビームの特徴や原理から物質科学への応用までを幅広く講義しました。各講義後には、受講生から活発な質問が寄せられ、理解を深める場となりました。

2日目には、JRR-3とMLF の施設見学を実施し、受講生は最先端の量子ビーム施設の運用現場を体感しました。

質問する受講生
講義の様子
質問する受講生

講義の後には受講生から質問が寄せられた

JRR-3見学の様子

MLF ビームライン(BL)03 iBIXの見学の様子

MLF ミュオンD1エリア見学の様子

実習:MLFの各ビームラインでの本格的なハンズオン

3日目と4日目は、実習ビームラインごとに分かれ、各ビームラインスタッフの指導のもとで実習が行われました。受講生は試料作成、試料設置、データ取得、データ解析、発表資料作成、発表練習、成果発表に至る一連の研究プロセスを経験しました。4日目の夕方に発表の練習に入るビームラインもあれば、実験データの取得を続けるビームラインもあり、進捗状況はそれぞれ異なっていました。

BL02の試料作成の様子

BL15の試料作成の様子

S1の試料設置の様子

BL22の試料設置の様子

成果発表会の会場の様子。受講生のほか、ビームラインスタッフや関係者など多くの人が集まった

BL01の発表について質問する受講生

成果発表会の様子

プレゼンテーション賞:BL23・U1A・D2 が受賞

最終日はビームラインごとに研究成果を発表しました。受講生、講師、各装置スタッフの投票の結果、今年のプレゼンテーション賞は以下のビームラインが受賞しました。

第1位:BL23 POLANO
第2位:ミュオン U1A
第3位:ミュオン D2

BL23のメンバーは受賞挨拶の中で、「BL23のスタッフだけでなく、スクールのスタッフの皆さま、ありがとうございました」と述べました。

大竹校長とBL23 POLANO の受講生

大竹校長とミュオン U1A の受講生

大竹校長とミュオン D2 の受講生

大竹校長による閉会の言葉:「この経験を次世代へ」

閉会式では、スクール最終日まで参加した受講生全員が、大竹校長から本スクールの修了証を一人一人手渡しで受け取りました。

最後に大竹校長は「皆さんは科学・友情・国際的な知識のいずれか、あるいは複数を確実に得たはずです。10年後、20年後、30年後になっても、この経験は皆さんの中に生き続けるでしょう。次の世代にも、ぜひこの機会を届けてください。そして、国境を越えて大型施設で学ぶことの素晴らしさを伝えてください」と挨拶し、国際的な量子ビームコミュニティを担う未来の研究者たちに向け、激励と期待を送りました。

※本スクールは国際原子力機関(IAEA)の協賛を受けて開催されました。

大竹校長から修了証を受け取った

実習に用いられたビームライン

中性子非弾性散乱・準弾性散乱


中性子回折
BL08 SuperHRPD

中性子小角散乱・反射率
BL15 TAIKAN

中性子イメージング
BL22 RADEN

中性子核反応
BL04 ANNRI


ミュオン

関連サイト