2025年10月19日(日)から24日(金)にかけて「第6回アジア・オセアニア放射光科学フォーラムスクール(AOFSRR School 2025)」をKEKつくばキャンパスにて開催しました。本スクールは、アジア・オセアニア地域の放射光科学のレベルの向上と裾野の拡大、放射光利用研究に携わる人材の育成を目的とし、2007年から2015年にかけてSPring-8で行われていたCheiron Schoolを引き継ぐ形で、2017年に第1回がThe Australian Synchrotronで開催されました。6回目となる今回は、各国の放射光コミュニティに推薦された学生、ポスドク、若手技術者、若手研究者50人が、6日間学びました。50名の国別の内訳は、日本11名、オーストラリア4名、韓国5名、中国5名、インド4名、シンガポール4名、台湾3名、タイ4名、ベトナム2名、マレーシア2名、インドネシア2名、ニュージーランド3名、フィリピン1名です。
10月19日(日)はウェルカムパーティを開催し、20日(月)の開校式では、足立 伸一KEK理事の挨拶、物質構造科学研究所(物構研)船守 展正所長による物構研紹介のあと、放射光実験施設(PF)五十嵐 教之施設長の進行で、受講者全員が自己紹介をしました。笑いが絶えず、打ち解けた雰囲気でスクールが始まりました。初日の講義後にはつくば見学ツアーを行い、PF-ARや加速器リング内、低速陽電子実験施設(SPF)を案内しました。
20日(月)、21日(火)の講義は、放射光施設で生かせる基礎的、実用的な技術を習得することに重点を置いた内容とし、KEK以外にもSPring-8、UVSOR、立命館大学などの国内放射光施設、大学から講師を招いて行いました。
22日(水)には、9つのグループに分かれてPFのビームラインを使って実習を行いました。得られたデータを解析して、23日(木)の午後に成果発表を行いました。どのグループも短期間ながら力を合わせてデータを解析し、わかりやすいように工夫したスライドを使ってのレベルの高い発表でした。最後に修了式を行い、参加者全員に修了証を手渡し、集合写真(冒頭の写真参照)を撮影しました。
最終日の24日(金)は、東海キャンパスでのMLF見学、ひたち海浜公園でのエクスカーション、そしてホテルグランド東雲でのバンケットを実施しました。これらの行事を通じて、参加者の方々に日本への理解を深めていただくことも本スクールの重要な目的の一つです。また、本スクールを通して参加者同士の親睦も大いに深まりました。
スクール終了後に実施したアンケートでは、50人中46人から回答が寄せられ、スクール全体を5段階評価してもらったところ、 91.3%が「満足(Satisfied)」、8.7%が「やや満足(Somewhat satisfied)」という回答が得られました。この結果から、本スクールは大きな成功を収めたと判断しています。
近年のアジア・オセアニア地域における科学技術状況は著しく進歩しており、放射光科学分野においても、新施設の建設ならびに研究現場での高い技術が求められています。各国の学生、ポスドク、若手技術者、若手研究者が、相互に協力し技術を高め合った今回のスクールで得られた知識と経験、ネットワークを基に、放射光科学の将来を切り開いていくことを期待しています。