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産業界へ放射光利用を拡大 XAFS講習会開催

物構研トピックス
2012年3月19日

3月12日から14日にかけて、フォトンファクトリー(PF)にてXAFS講習会が行われました。これは放射光の産業利用促進を目的に、XAFS(ザフス、X-ray Absorption Fine Structure / X線吸収微細構造)の理論や実験の基礎講義に加えて、利用方法についての実習を交えて実際の測定を体験する講習会です。

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ビームコントロールについての講義を行なっている様子


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装置に試料を設置する様子


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データ解析演習の様子

XAFSは入射する放射光(X線)のエネルギーを変えながら試料による吸収の具合を測定する実験方法です。得られたスペクトルを解析すると、試料中の注目した原子近傍の局所的な構造や化学状態を知ることができます。現在PFではPF-ARと合わせて6本のビームラインでXAFSを利用することができます。

初日はXAFSの基礎的理論や測定の原理、特徴などについてXAFSの全体概要に関する講習が行われました。2日目には、PFで実際に稼働しているビームラインを用いて、ビームコントロールの基本的な操作を体験した後、参加者が持参した試料を使って試し測定を行いました。電子デバイスに用いる薄膜、二次電池の母材、光触媒効果のある塗料など様々な試料が持ち込まれました。XAFS測定の特徴の一つは試料の形態に依らず測定できることです。そのため、結晶構造をもたない固体(アモルファス)や液体など、持ち込まれた試料の形態も様々でした。そして得られたデータから構造を決めるための解析の演習を3日目に行いました。この演習では、データ解析技術の習得を目的に、あらかじめ測定しておいたデータを用い、解析ソフトの使い方、結果を得るまでの一連の解析の流れを体験しました。参加者自身が試し測定した試料のデータについては、持ち帰って解析が行われます。

参加者は、どのような材料がXAFS測定に向いているのか、測定するための条件や試料準備など細かく確認していきました。実際にXAFSが商品開発、改良に有効であるかを見極めるため、皆真剣に取り組んでいました。

今回、XAFS講習会には競争の激しい分野から20名、19社が参加されました。放射光は商品開発や改良、評価の立場から産業の発展を下支えしています。


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