IMSS

物構研サイエンスフェスタ2013開催

物構研トピックス
2014年3月24日

3月18、19日の両日、物構研サイエンスフェスタが開催され、約450名の研究者らが集いました。 KEKの物構研が擁する放射光、中性子、ミュオン、低速陽電子の4つの量子ビームの総合的な利用促進を目的に、昨年より行われているもので、 今年度は第5回MLFシンポジウム(MLF: J-PARCの物質・生命科学実験施設)、第31回PFシンポジウムとの合同開催となりました。

fig1.jpg

物構研サイエンスフェスタは、この季節に巡ってくる量子ビームのサーカスのようなもの。そのテントの下で、いろんな量子ビームが一堂に集うシンポジウムが開催され、 互いに刺激しあうことで、 サイエンスの活性化、新たなサイエンスを創出してほしいとの山田和芳 KEK物構研所長の挨拶により始まりました。 続いて池田裕二郎J-PARCセンター長からは、世界をけん引する量子ビーム施設として、ユーザーの皆さまにビームと共にサイエンスの場を提供していきたいとの挨拶がありました。

5件の招待講演では「水素とスピンが織りなす物性研究」をテーマとして、新しい超伝導材料や水素貯蔵材料など物質内における水素のふるまいと、それによる物性について 複数の量子ビーム利用、計算による研究成果が発表されました。午後には、「持続可能な社会への貢献」、「生命科学と量子ビーム」をテーマにしたセッションと ポスターセッションが行われました。ポスターセッションでは、発表した学生の中から特に優秀なものについて、6件の学生奨励賞が選出され、翌19日に授賞式が行われました。他分野の研究者、ビームのユーザーが一同に会することで多角的な議論が展開されました。

fig2.jpg fig3.jpg fig4.jpg
左:会場の様子 中:ポスターセッションの様子 右:学生奨励賞。
左から鳥養映子MLF懇談会会長(山梨大 教授)、冨田裕介氏(名大院工)、提嶋佳生氏(名大院工)、重村圭亮氏(東工大院理工学)、山田和芳KEK物構研所長、佐藤衛 PF-UA会長(横浜市大 教授)
fig5.jpg

二日目は、第5回MLFシンポジウムと第31回PFシンポジウムに分かれ、開催されました。 MLFシンポジウムでは、施設報告の後、インドネシアで行われている電池材料の研究、磁性材料や水素を吸着・解離する鉄に関する3件の招待講演が催されました。その後に設けられたセッションでは試料環境や計算環境など、実験環境の開発状況が報告され、ユーザーから施設に対し利用向上のための要望、意見交換の場が設けられました。 午後からは3つの会場に分かれ、ハードマター、ソフトマター、線源・デバイス・技術開発、酸化物の物性等、施設利用による研究成果の発表が行われました。

fig6.jpg

PFシンポジウムでは、施設報告に続き、PFの運営に関する意見交換が行なわれました。ここでは主に、来年度の運転時間の削減問題と将来計画についてという、2つの大きな議題が提示されました。 運転時間の削減は施設にとって致命的な問題であり、運転時間の回復のために真剣な議論が交わされました。また将来計画に関しては、 現在のPFのアクティビティをシームレスにつなげて欲しいという強い要望がユーザーから投げかけられました。 この他、PFおよびPF-ARの運転報告、ビームライン整備計画、コンパクトERLの開発状況について報告されました。

プログラム等、詳しい情報はこちら
>>物構研サイエンスフェスタ2013 第5回MLFシンポジウム、第31回PFシンポジウム


◆関連サイト

◆関連記事

2013.3.19
物構研サイエンスフェスタ、3つのシンポジウムと合同開催
2012.10.16
第4回MLFシンポジウム、茨城県ビームライン成果報告会と合同開催
2011.12.19
物構研シンポジウム'11 開催
2011.7.20
ERLシンポジウム・PFシンポジウム開催
2010.12.14
物構研シンポジウム'10 開催