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KEK

木村正雄氏、村尾玲子氏、澤村論文賞を受賞

物構研トピックス
2015年4月 9日
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左から:木村正雄氏、村尾玲子氏

KEK物構研の木村正雄教授、新日鐵住金(株)の村尾玲子氏が、日本鉄鋼協会による澤村論文賞を受賞し、3月に行われた日本鉄鋼協会の春季講演大会にて表彰式が行われました。この賞は、鉄鋼に関する学術上、技術上最も有益な論文を寄稿した者に贈られます。

両氏は、鉄鋼材料を製造する重要な液相焼結プロセスに関する研究を行い、高温(~1500℃)での酸化物融体から複雑な酸化物相が析出していく非平衡の反応過程を放射光およびレーザーを用いた観察法により明らかにしました。鉄鋼材料である焼結鉱は、鉄鉱石粒子と多様な酸化物から構成されており、この組成が鉄鋼の品質に大きく影響します。焼結反応は、加熱、冷却されることで進行し、温度変化や酸素分圧などの要因によって得られる焼結鉱の微細組織や相が変化します。こういった焼結反応を再現し、反応のその場を、時間変化を追って焼結鉱が出来るプロセスを観察し、得られたデータから連続冷却曲線(CCT図)を提案しました。従来、反応中に出現する微量な酸化物の情報を得ることは困難で、断続的な観測しかできませんでしたが、放射光を用いた迅速X線回折(Q-XRD)と高温レーザー顕微鏡を活用することで、反応のその場を観察することに成功しました。

本成果であるCCT図は焼結鉱の分野では初めての例であり、焼結鉱プロセスの設計指針に大きく貢献することが期待されます。

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鉄鉱石の液相焼結反応の模式図。
こうした反応に伴う結晶構造および組織の短時間の変化および冷却速度の影響を明らかにすることに成功した。

受賞対象論文
"Continuous cooling transformation (CCT) concept for iron ore sintering using in situ quick X-ray diffraction and confocal laser microscope ", ISIJ International, Vol. 53, No12, 2047-2055 (2013).
Masao Kimura and Reiko Murao


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