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PFユーザーの高橋嘉夫氏が日本地球化学賞を受賞

物構研トピックス
2015年11月 6日
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受賞した高橋嘉夫教授(左)と川幡穂高 学会長(右)
(写真:日本地球化学会)

フォトンファクトリーを長年利用し、数々の業績を収めてきた高橋嘉夫教授(東京大学)が2015年の日本地球化学会の学会賞を受賞しました。この賞は、地球化学の分野で特に優秀な業績を収めた研究者に与えられるものです。

受賞対象は「XAFS法などによる化学種解析に基づく環境地球化学的研究」です。高橋氏は、X線吸収微細構造法(XAFS:ザフス)を利用して、微量に含まれる元素の化学状態や構造を知ることによって、地球化学、環境化学の研究を進めてきました。特にXAFSで特定できる化学状態は、地球で起こる化学反応を知る上で重要な情報となります。高橋氏はフォトンファクトリー、SPring-8を利用したXAFS、蛍光X線分析などを組み合わせることにより、元素ごとの化学種をマッピングし、原子・分子レベルの反応から地球規模の環境変化などマクロな現象をつなぐ、分子環境地球化学という分野を開拓、推進してきました。これまで、大気中を浮遊する微粒子「エアロゾル」による雲形成のしくみや、微生物の細胞表面でレアアースが濃縮されるメカニズムを解明するなどしています。また、近年ではPFのBL-13に設置されたX線顕微鏡(STXM)を利用し高空間分解能で化学状態を含む官能基をマッピングしたイメージングとXAFSを組み合わせた研究も行っています。

こうした手法を天然試料へ適用したことは画期的であり、地球規模での環境変化や循環のしくみの解明は、学術的のみならず社会的意義も非常に高いものとして評価されました。

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