チョコレートを題材にして、ミクロな構造とマクロな物性を繋ぐ体験型ワークショップ「チョコレイト・サイエンス」を開催しました。チョコレイト・サイエンスは2014年に立上げて以来、つくば市内にあるチョコレートの製造を手掛ける株式会社東京フードの協力を得ながら拡充し、毎年冬期に科学館など各地で行なっています。今年度は都内とつくば市内、そして愛知県の計5回実施しました。
チョコレイト・サイエンスは、チョコレートを構成する分子の並び方の違い(多形結晶)が、食感や美味しさにどのように関係しているのかを、実験しながら学習するプログラムです。実験では、チョコレート作りに必要なテンパリング操作(温度調節)の有り、無し、など3種類のチョコレートを作り分けます。その結果を、光沢感などの見た目、硬さなどの触感、そして食べ比べることで、チョコレート特有の食感や風味の感じ方などを比較します。講義では、食感などの違いがなぜ生じているのかを、放射光を利用した研究に基づいて、分子の並びや構造の違いが解説されました。
参加者からは、「テンパリングのメカニズムが思っていたよりも理論的に分かっていることが知れて良かった。」、「チョコが結晶のかたまりというのを初めて知りました。」といった声が寄せられました。中には実験に失敗してしまう班もありましたが、それも含め、観察して皆で評価しました。