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小林正典氏、間瀬一彦氏、日本真空学会において顕彰

物構研トピックス
2017年2月15日

KEK名誉教授の小林正典氏(元KEK物質構造科学研究所・放射光源研究系主幹)が一般社団法人・日本真空学会の第3回学会賞を受賞しました。また同時に、KEK物質構造科学研究所准教授の間瀬一彦氏が、第3回フェローに選ばれました。日本真空学会賞は真空、表面および関連する科学・技術とその産業利用の進歩発展に関して顕著な功績をあげた日本真空学会正会員に授与されます。一方、フェローは日本真空学会における継続的な活動を通じて真空、表面および関連する科学・技術とその産業利用の進歩発展、あるいはそれらに関連する教育・公益活動に関して顕著な業績をあげた正会員に授与されます。

小林正典氏の顕彰業績は「放射光源真空技術の進歩発展、公益活動への貢献」です。小林氏は、1964年に東京大学生産技術研究所にて真空の研究を開始し、東京大学工学部、生産技術研究所における教育・研究活動を経て、1979年にKEKに着任してから2004年に退官するまで、一貫してPF、PF-ARの真空システムに関する研究開発と、安定運用を実現するための維持・改良を行いました。この努力により、PFは放射光を発生してから34年経つにもかかわらず、現在も安定した運転を続けており、最先端の研究成果を生み出し続けています。また、国際的にも世界の加速器施設の真空技術の発展に寄与し、日本真空学会(2012年に日本真空協会より改称)における公益活動にも貢献しています。

間瀬一彦氏は、卓越したアイデアと高度な実験技術に基づき、先駆的かつ顕著な成果をあげていることが評価されました。間瀬氏の開発した「電子-イオンコインシデンス分光法」は、固体表面での様々な励起プロセスの解明につながり、この業績により日本真空協会第29回真空技術賞を受賞しています。PFにおいても、表面研究のためのビームラインBL-13を建設し、有機薄膜の電子状態解明やガス雰囲気下での表面分析による触媒機能解明などに貢献しています。日本真空学会への貢献も極めて大きく、今後も真空・表面科学の分野での先導的活躍が期待されることから、フェローの称号を授与されました。

授賞式は2016年11月30日に、名古屋国際会議場で行われた2016年真空・表面科学合同講演会において行われました。

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間瀬一彦氏と表面研究用ビームラインBL-13(撮影 石川典人)

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