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慶應大学と信州大学の研究グループ、タンパク質でサッカーボール型分子を創出

物構研トピックス
2018年9月19日

慶應義塾大学 理工学部 生命情報学科の川上 了史 専任講師と宮本 憲二 教授、信州大学 繊維学部 応用生物科学科の新井 亮一 准教授らの共同研究グループは、分子が自発的に組み上がる自己組織化という現象を利用して、サッカーボール形状のタンパク質ナノ粒子「TIP60」を創り出すことに成功しました。

TIP60とは、「人工融合タンパク質が60個集まってできる切頂20面体」を意味する Truncated Icosahedral Protein composed of 60-mer fusion proteins の略です。 自発的に組み上がる設計を考え、実際にタンパク質を精製し電子顕微鏡観察や小角X線散乱解析を行ったところ、設計のとおり直径22 nm程度で内部が空洞の均質な球状分子が出来上がったことが確認されました。小角X線散乱実験にはフォトンファクトリーBL-6Aが利用されました。

TIP60内部の空洞に小さな有機化合物を導入することや、TIP60同士を一定のルールに従って集合させより大きな構造を作り出すこともできます。このことから、薬物を導入したナノカプセルとしての利用や、新たな分子構造を持ったナノ材料を作り出すためのナノブロックとしての利用など、ナノテクノロジーの発展に寄与することが期待されます。

この研究成果は、米国の雑誌 Angewandte Chemie International Edition に掲載されました。

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