7月20日(土)、KEKつくばキャンパス小林ホールにて、フォトンファクトリー新体制発足記念講演会 〜PF REBORN 2019〜 が開催されました。 この講演会は、フォトンファクトリー(PF)が今年度から正式な組織「放射光実験施設」として発足したことを記念して企画されました。「放射光実験施設」の名称はPF誕生時の組織名であり、放射光黎明期を牽引したPFを再誕生させ、これからの第二黎明期を牽引する決意が込められています。これまでのPFのあゆみを振り返りつつ、新たな一歩を踏み出す講演会には、PF黎明期を支えた世代から若手まで、111名の方に参加いただきました。参加者には、PFのあゆみをまとめたパンフレットが配布されました。
講演会は、「放射光黎明期を先導したフォトンファクトリー」と「第二黎明期を迎えるフォトンファクトリー」の2つのテーマを軸にプログラムが組まれました。放射光黎明期のセッションでは、元光源研究系主幹の小林正典先生、元測定器研究系の太田俊明先生、それぞれ光源加速器とビームライン・エンドステーションの黎明期を支えたお2人に、当時を振り返っていただきました。懐かしい写真の数々や、黎明期当時の熱気が伝わる講演で、会場も大変盛り上がりました。
第二黎明期のセッションでは、最初に船守展正放射光実験施設長よりPFの使命と将来構想について説明があり、引き続き、清水敏之PF-UA会長、PFとともに学術研究を先導する放射光施設であるHiSOR(広島大学)の奥田太一副センター長とUVSOR(分子研)の解良聡施設長から、PFへの期待を語っていただきました。休憩をはさんだ後半は、PFならではの「オンリーワン」な光源である垂直偏光白色X線源とそれを利用した位相イメージングについて、光源系、手法、利用研究、それぞれのエキスパートの7名の方から講演をいただきました。最後に講演された京都大学先天異常標本解析センターの山田重人教授からは、センター所有の数万点に及ぶヒト胚子標本の位相イメージング例と、軟組織を高いコントラストおよび高分解能で観察できる位相イメージングが、ヒトの発生段階や先天異常に関する新たな知見をもたらす可能性をご紹介いただきました。
これらのセッションの後には、フォトンファクトリーOB/OG会(仮称)の設立についての説明が元測定器研究系の雨宮慶幸先生からありました。
第二黎明期のセッションの冒頭に、文部科学省の樋口晋一素粒子・原子核研究推進室長、放射光学会の内海渉庶務幹事(QST次世代放射光開発センター長)より、来賓のご挨拶をいただきました。また、山内正則KEK機構長からも今後のPFの第二黎明期に期待する旨の挨拶がありました。皆様のご挨拶の中に「REBORN」や「第二黎明期」というワードが頻繁に登場したことからも、今後のPFへの期待と激励が感じられました。