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岡山大学などの研究グループ、酸化グラフェンの光による酸素除去メカニズムを解明

物構研トピックス
2019年9月18日

筑波大学の羽田 真毅 准教授、岡山大学の仁科 勇太 研究教授、九州大学の恩田 健 教授らは共同で、酸化グラフェンに光を照射することにより酸素が除去されるメカニズムを初めて明らかにしました。
酸化グラフェンは、次世代材料として期待されている炭素二次元シートの原料物質ですが、そのままでは電気を流さないため、電子デバイスなどに応用する際には酸素を適切に除去する必要があります。

黒鉛(左)と酸化グラフェン(中央)とグラフェン(右)の構造
酸化グラフェンの光による酸素除去と熱による酸素除去
光による酸素除去ではある特定の部位(エポキシ基)のみが除去されるのに対し、
加熱ではいろいろな部分から酸素原子が脱離するため酸素がより多く除去され、酸化グラフェンはより黒く変化する。

今回のメカニズム解明は、光照射による物質の変化を1兆分の1秒の時間で追跡できる複数の計測手法と理論計算を駆使した成果です。この研究は、センサーや蓄電池などのデバイス応用からドラッグデリバリーなどのバイオ応用まで幅広く役立つ、新しい機能を持った炭素二次元シートの合成につながります。

筑波大学の羽田 真毅 准教授は、岡山大学に所属のころからフォトンファクトリーのユーザーで、岡山大学の仁科 勇太 研究教授とともに、フォトンファクトリーアドバンストリング(PF-AR)での実験に取り組んできました。この共同研究には、KEK 物構研から、一柳 光平 協力研究員、深谷 亮 特任助教、野澤 俊介 准教授、足立 伸一 教授が参加し、光照射される前の酸化グラフェンのX線回折を測定することにより、その構造について情報を得ました。


詳しくは… 岡山大学のプレスリリース:「光が創る新しい炭素材料-酸化グラフェンの光による酸素除去メカニズムを解明-」(2019.8.27)

関連ページフォトンファクトリー PF-AR NW14A 時間分解X線回折/散乱ビームライン

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