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物構研 4つのプローブの歴史 中性子・ミュオン続編

物構研ハイライト
2020年9月 4日

中性子・ミュオンの実験施設が東海村に

1990年代、日本で培われた技術が欧米で開花、より大強度のパルス中性子・ミュオン源が稼働を始め、国内でも1 MW級の大強度陽子加速器への夢が高まりました。KEKでは中性子・ミュオンだけでなく原子核素粒子研究や短寿命核研究分野に及ぶ学際的プロジェクトの計画が立てられました。同じころ、旧日本原子力研究所(現 原子力研究開発機構JAEA 原子力科学研究所)でもパルス中性子将来計画が提唱されました。当時の省庁再編の動きとも相まって、「統合計画」としてKEKとJAEAが共同で茨城県東海村に大強度陽子加速器施設(J-PARC)を建設・運営することになりました。

中性子初ビーム記念(MLFコントロールルームにて)
ミュオン初ビーム記念(MLF 第1実験ホールにて)

そして2008(平成20)年12月、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)が共用・大学共同利用等を開始しました。MLFでは、中性子とミュオンの生成ターゲットは同じ陽子のビームライン上にあります。上流にミュオン生成のターゲットがあり、そこから伸びる4本のミュオンビームラインと実験エリアはすべて物構研が管理しています。ミュオンターゲットを透過した陽子ビームは中性子源に送られ、そこで発生した中性子は23のビームラインに輸送されます。中性子ビームラインはKEK・JAEA・総合科学研究機構(CROSS)・茨城県により管理されており、物構研は8つのビームラインを担当しています。

J-PARC MLFの物構研のビームライン
陽子の進行方向から見て左手が第1実験ホール、右手が第2実験ホール
J-PARC MLFのミュオンターゲット部
陽子は左から右へ向かう

未来の技術に貢献するMLF

MLFでは世界最強クラスの輝度の短パルス中性子・ミュオンビームが利用できます。加えて、研究者・技術者が所属の垣根を超え、互いに切磋琢磨することで、高感度・高速・高分解能測定や、複雑な試料環境での実験を可能にしています。これにより、物理・化学・生物学・材料科学から産業応用まで様々な分野における最先端の実験が行われています。

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