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チョコレイト・サイエンス@つくばエキスポセンターを開催

物構研トピックス
2020年2月12日

プラネタリウムをリニューアルしたばかりのつくばエキスポセンターで、2/2(日)午後、第45回ミーツ・ザ・サイエンス「チョコレイト・サイエンス」が開催されました。 主催はつくばエキスポセンターとKEK 物構研、そして、チョコレイト・サイエンスのレシピ開発にもご協力をいただいたチョコレート製造会社 東京フード株式会社(つくば市)が協力機関として名を連ねています。

小学4年生から大人まで27人が参加し、講師は物構研 フォトンファクトリーの宇佐美 徳子 講師が務めました。東京フードの研究所から路川 聡一さんと飯田 歩弓さん、そして久保 健介さんが応援に駆けつけ、チョコレートの専門家のアドバイスを受けながら実験を楽しむことができました。

講師の宇佐美さん
左から、東京フードの久保さん、路川さん、飯田さん
つくばエキスポセンターの小林さん、松岡さん(東京フード 路川さん撮影)
会場には、参加者の他に付き添いなどの見学者も多数
「日本人は一年間にどのくらいチョコレートを食べている?」

まず、宇佐美講師と一緒にチョコレートのおいしさについて考えた後、東京フードの路川さんからカカオ豆について解説がありました。会場には、カカオの樹の模型が展示されていて、その特徴がよく分かります。路川さんからは、つくば市内の国立科学博物館 筑波実験植物園の温室にはカカオの樹があって、年中カカオの実がなっているのを見られますよ、という紹介もありました。

実験には東京フード製の刻みチョコレートが使われ、5~6人のグループに分かれてチョコレートを湯せんで融かして型に流しただけの「単純冷却」、数人がかりで温度制御をした「テンパリング」の2種を作りました。
単純冷却に比べると、テンパリングはとても気を遣う作業なので、「どうしてテンパリングをしなければならないか分からないのよね」という不満そうな声も聞かれました。
しかし、できあがったチョコレートの違いは歴然。「同じ刻みチョコからできたものなのに、こんなに違うの?」という驚きの声が上がります。

冷蔵庫でチョコレートを冷やす間に、宇佐美講師から2つのチョコレートの違いがどこからくるものなのか、解説がありました。チョコレートは結晶で、その結晶の形は何種類もあることや、それぞれの結晶で融ける温度が違うことを利用して、温度操作によって結晶形を作り分けることができるという説明があり、チョコレートの結晶の形を知るために、フォトンファクトリーの放射光が使われていることが紹介されました。 また、東京フードの路川さんからはチョコレートにまつわる「ちょこっとクイズ」の時間もありました。例えば、チョコレートを食べすぎると鼻血が出るって本当?など、ちょっと物知りになる問題多数でした。

試食タイムには、2種のチョコレートを見て、触って、割る音を聞いて、食べて観察しました。会場では、「単純冷却の方が、甘味が強くておいしいと思う。疲れているときにはこっちがいい」、「単純冷却は甘味が前面にでているけど、テンパリングはカカオの風味が閉じ込められているみたいな感じ」などの食レポがあちこちで聞かれました。宇佐美講師からは、単純冷却のチョコレートは安定な結晶ではないので、数日置くだけで変化してしまうという説明がありました。

まとめの時間には会場から質問の手が挙がり、食に関する科学への関心の高さが伺えました。開催後のアンケートでは、ほとんどの方がチョコレートの科学に対する興味が増したと回答し、「食品と科学を結びつけたイベントをもっと開催してほしい」という意見もありました。

チョコレートを融かしています
チョコレートの温度を測っています
手分けして作業中(東京フード 路川さん撮影)
できあがったチョコレートをじっくり観察
割った断面はどうなっている?
ワークシートに書き込んでいます
思い思いにシールを貼ります
2種のチョコレートの違いが見えます
(水色が単純冷却、ピンクがテンパリング)

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