2020/06/04 <プレスリリース>
東京大学 物性研究所とKEK 物構研、理化学研究所の共同研究グループは、遷移元素レニウムRe(原子番号75)を含む物質を放射光X線を用いて高精度に測定することにより「隠れた秩序」として知られる多極子の整列パターンを世界で初めて観測しました。
実験には、KEK物構研のフォトンファクトリー(PF)と、理化学研究所のSPring-8が用いられました。
この共同研究には、物構研から放射光の佐賀山 基 准教授が参加し、PFでは BL-8AとAR-NE1Aを使って実験を主導しました。実験はPFとSPring-8でほぼ交互に進められ、一歩ずつ理解が進んでいったそうです。
KEKプレスリリース6/4
遷移元素を含む物質の「隠れた秩序」の観測に成功
―重い元素の示す奇妙な振る舞いの理解に向けて―
KEKつくばキャンパスでは連日草刈りが行われています。
X線回折パターン解析を自動化、熟練者が1日がかりの解析作業をPC1台で1時間に
KEK 物構研 量子ビーム連携研究センター(CIQuS:サイキュース)の小野 寛太 准教授を中心とするKEKおよび総研大の研究グループと、産業技術総合研究所の大西 正輝 社会知能研究チーム長らは共同で、数理最適化の一手法(ブラックボックス最適化)を用いて、粉末X線回折パターンの解析を自動化・高効率化する手法を開発しました。
粉末X線回折は、物質・材料研究に必要不可欠な手法ですが、結果を得るためには熟練者の長い時間と労力が必要とされてきました。今回の手法開発により、効率化が図れるだけでなく、人間の思考の癖や思い込みを排除した新しい解釈が導かれることも期待されています。
共同研究には、物構研から、小野准教授のほか、放射光の羽合 孝文 特任助教、斉藤 耕太郎 研究員、総研大生の鈴木 雄太さんが参加し活躍しています。
物構研に今年の春設置された量子ビーム連携研究センター(CIQuS)では、マルチプローブ利用により不可欠となるAIを活用したデータ駆動型実験・解析手法を開拓するとともに、量子ビーム連携分野で国際的に活躍できる若手人材を育成することもミッションの一つとなっています。
KEKプレスリリース6/4
結晶構造解析の自動化 〜ブラックボックス最適化により熟練者を上回る解析精度を達成〜
スライム大好き佐々木 有美さん監訳のスライム本が発売されます
多摩六都科学館の学芸員 佐々木有美さんは、物構研 中性子科学研究系の研究支援員でもあります。
KEK一般公開やJ-PARC施設公開のスライム企画でもおなじみですね。
佐々木さんは実に101種類のスライムを試作してスライムの訳本を完成させました。
web公開された「あとがき」で佐々木さんの気合の入り具合を垣間見ることができます。
Make: 触感でスライムを“リバースエンジニアリング”して材料をローカライズ。新刊『どろどろこねこねで楽しい! 手作りスライムとこむぎねんどの本』は6月下旬発売!
物構研トピックス 2019/09/06 J-PARC施設公開2019が開催されましたMLFサイエンスラボ「よ~く伸びるスライムをつくろう!」
多摩六都科学館(6/2より開館!)
2020/06/09 <プレスリリース>
世界で初めて臭素分子の分極を分光学的に観測
金沢大学、立命館大学、KEK物構研の研究グループは、臭素分子(Br2)を原子1個分の凹みを持つお椀のような形の材料(バナジウム酸化物クラスター)に挿入すると凹み部分に安定化され、電荷の偏り(分極)が起こることを確認しました。臭素分子の分極を分光学的に観測した世界初の成果です。
この観測には物構研 放射光の山下 翔平 助教が参加し、フォトンファクトリーBL12Cでの広域X線吸収微細構造(XAFS)測定を行いました。そのスペクトルを解析することにより、臭素原子間の距離は、気体の臭素分子の原子間距離より長くなっていることが明らかになりました。
KEKプレスリリース 6/9
原子サイズの凹みを持つ金属酸化物クラスターによる分極の誘発とアルカンの臭素化に対する反応性の制御に成功
2020/06/16 <プレスリリース>
リチウムイオン電池内の金属リチウムをミュオン特性X線で分析
KEK 物構研のミュオン研究グループは、株式会社 豊田中央研究所(豊田中研)、大阪大学、国際基督教大学、総合科学研究機構(CROSS)と共同で、J-PARC MLF ミュオン科学研究施設(MUSE)の負ミュオンビームを用いて、リチウムイオン電池に用いられる黒鉛負極に析出した金属リチウムの検出に成功しました。ミュオンの特性を活かして、電極を覆うラミネート容器を通して、非破壊で深さを特定し、金属リチウムを選択的に検知できることを実証しました。今後、リチウムイオン電池の更なる安全性向上に貢献する技術への発展が期待されます。
豊田中研の梅垣 いづみ 研究員、物構研 ミュオンの三宅 康博 特別教授、竹下 聡史 特別助教、反保 元伸 研究員、杉山 純 協力研究員らは、リチウムのミュオン特性X線を高感度で検出するためのシステムおよび試料用チャンバー開発や低運動量の大強度負ミュオンビームを得るための装置改良を重ね、ラミネート容器越しの金属リチウム検出に成功しました。J-PARC MLF MUSE Dラインは、世界で唯一、リチウムイオン電池のミュオン特性X線元素分析が可能な実験施設です。
KEKプレスリリース6/16
リチウムイオン電池電極に析出した金属リチウムをミュオンで検知
-ミュオン特性X線による非破壊元素分析の応用-
2020/06/17
東京大学などの研究グループ、四極子による磁気異方性のメカニズムを解明
東京大学大学院理学系研究科の 岡林 潤 准教授、東北大学材料科学高等研究所の水上 成美 教授らの研究グループは、マンガンMnとガリウムGaの合金の薄膜において、膜に垂直方向に磁化が揃うメカニズムを解明しました。
研究グループは、KEKの放射光実験施設 フォトンファクトリー内の、東京大学大学院理学系研究科スペクトル化学研究センター運営のBL-7AおよびアンジュレータビームラインBL-16Aにて、X線磁気分光測定を行い、MnとGaの電子軌道の形状を明確に観測しました。
物構研トピックス 6/16
PFユーザーの東京大学などの研究グループ、四極子による磁気異方性のメカニズムを解明
詳しい内容は、
東京大学大学院理学系研究科のプレスリリース
磁気異方性における四極子の役割を解明:マンガン合金の磁気デバイス応用への鍵
フォトンファクトリーのユーザー運転が始まりました
COVID-19の影響で春の運転開始が遅れたフォトンファクトリー(PF)ですが、今朝から所内外の研究者が放射光実験を開始しました。実験ホール内の研究者の数は少ないものの、リモート操作を活用しつつ実験装置が動き出してホールは活気づいています。
いつものユーザー運転時とは異なり、来所者の把握を徹底し、建物およびPF実験ホールの入口や実験ホール内の複数ヶ所に手指消毒用のアルコールが置かれるなど、さまざまな対策がとられています。
フォトンファクトリー 2020年6月PF利用者安全ガイドライン
KEKつくばキャンパスではアジサイが咲き始めました。
2020/06/22
総合研究大学院大学(総研大)高エネルギー加速器科学研究科オープンキャンパスのご案内
総研大高エネ研究科では、7/3にオンラインのオープンキャンパスを開催します。ご参加をお待ちしております。参加には事前登録が必要です。
2020年度 第2回説明会(webにてLIVE配信予定)
7月3日(金) 13:00~16:00
13:00~14:30:高エネ研究科と、各専攻(加速器科学・物質構造科学・素粒子原子核)のご紹介
14:30~16:00:専攻ごとに詳しいご紹介・参加者からの質問や相談の受け付け
※総研大は大学共同利用機関などの研究所を基盤とする専攻をもつ大学院大学です。物質構造科学専攻はKEK物構研を基盤機関とし、高エネルギー加速器研究科に属する専攻です。
総研大 高エネ研究科 2020年度の説明会の日程・スケジュール等
YouTube 総合研究大学院大学 オンライン説明会
<オンラインイベント>
2020年7月3日金曜日 13:00〜16:00
総研大 高エネルギー加速器科学研究科オープンキャンパス
総研大高エネ研究科では、7/3にオンラインのオープンキャンパスを開催します。ご参加をお待ちしております。事前登録が必要です。
2020年度 第2回説明会
13:00~14:30:高エネ研究科と、各専攻(加速器科学・物質構造科学・素粒子原子核)のご紹介
14:30~16:00:専攻ごとに詳しいご紹介・参加者からの質問や相談の受け付け
総研大 高エネ研究科 2020年度の説明会の日程・スケジュール等
YouTube 総合研究大学院大学 オンライン説明会
※総研大は大学共同利用機関などの研究所を基盤とする専攻をもつ大学院大学です。物質構造科学専攻はKEK物構研を基盤機関とし、高エネルギー加速器研究科に属する専攻です。
2020/06/24
フォトンファクトリー(PF)では、科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業への応募を検討されている方からの利用相談を受け付けています。詳しくはWebをご覧ください。
PFで放射光利用実験を行うには(利用プログラム)2020/06/25
光化学反応メカニズムをフェムト秒オーダーで視覚化
KEK物構研・韓国科学技術院(KAIST)・浦項加速器研究所(PAL)・理化学研究所(理研)・高輝度光科学研究センター(JASRI)の共同研究グループは、日韓2つのX線自由電子レーザー(XFEL)施設を用いて、3つの分子が関係する複雑な化学反応において振動を伴い共有結合が形成されていく過程を、初めて直接可視化しました。
この研究は2015年に科学雑誌Natureに報告された「光による結合形成観測」の続編にあたり、前回よりも時間分解能を上げ、特に反応初期の分子構造の変化が10兆分の1秒の時間分解能で分かるようになりました。
共同研究にはKEK物構研フォトンファクトリーから、前回に続いて足立 伸一 教授・野澤 俊介 准教授が、今回新たに、深谷 亮 特任助教・一柳 光平 研究員が参加し、SPring-8併設のXFEL施設SACLAおよび浦項加速器研究所のPAL-XFELでの実験を行いました。
KEKプレスリリース 6/23
原子が振動しながら共有結合が形成されていく様子を直接観測
〜光化学反応において、初期の構造変化を10兆分の1秒単位で追跡〜
(動画)直接観測に成功した分子振動の発生と共有結合への進展
Press Release 2020.06.23
Every moment of ultrafast chemical bonding now captured on film
The emerging moment of bond formation, two separate bonding steps, and subsequent vibrational motions were visualized.
(ご参考)KEKプレスリリース 2015/2/19
原子同士が結合して新しい分子が生まれる瞬間をX線によってストロボ撮影
Press Release 2015.02.19
Direct observation of bond formations
2020/06/25
【KEKエッセイ #28】電子の不思議 〜遍歴と局在の狭間で〜
物構研 量子ビーム連携研究センター(CIQuS:さいきゅーす)の専任スタッフで、「私にスピンをわからせて!」の担任の先生でもある村上洋一教授が電子の不思議について書いたKEKエッセイです。
【KEKエッセイ #28】電子の不思議 〜遍歴と局在の狭間で〜
物構研トピックス 私にスピンをわからせて!
村上教授は、6月に東京で電子に関する講演を行う予定でしたが、開催が延期になりました。いまのところ秋に開催の予定です。詳しい内容が決まりましたらまたお知らせいたします。 古い情報になりますが、講演の内容は以下の通りです。
千代田区立日比谷図書文化館
日比谷カレッジ KEK物理学シリーズvol.3(6/11に開催予定でした)
電子の悩みが新材料を生み出す~量子ビームで見るナノ構造〜