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クライオ電子顕微鏡の実験棟を建設中

物構研トピックス
2021年12月10日
クライオ電顕実験棟 完成予想図
クライオ電顕実験棟内 予想図

タンパク質の構造を調べるためのクライオ電子顕微鏡(クライオ電顕)がKEKに設置され稼働を開始してから3年半が経過しました。学術機関のみならず企業ユーザーも増えています。

現在、クライオ電顕はKEKBリングのほぼ中央にある建物に設置されていますが、クライオ電顕専用の建物を建設、移転が計画されています。新棟は構造生物実験準備棟とフォトンファクトリーの間に建設中です。
この「クライオ電顕実験棟」にはタンパク質の精製のための実験室も移転し、精製したてのタンパク質の観察から解析まで行えるようになります。これによって、より質の高い解析が可能になります。また、作業スペースが広くなるので不安定な試料を扱いやすくなり、共同利用者にとっても使いやすい環境になります。完成予定は2022年春の見込みです。


クライオ電子顕微鏡による構造生物学研究センター(SBRC)とユーザーの皆さんとの共同研究の成果を図でご紹介します。カラーの図は局所分解能表示です。

九州大学 角田 佳充 教授・尹 基石 准教授との共同研究

Non-conventional octameric structure of C-phycocyanin
Communications Biology, volume 4, Article number: 1238 (2021)

関連ページ:九州大学 大学院 農学研究院 生物物理化学研究室
九州大学大学院 工学研究院 小江研究室

C-phycocyanin 6量体 の構造図
C-phycocyanin 8量体 の構造図

東京大学 阿部 郁朗 教授・筑波大学 小林 達彦 教授との共同研究

2021.11.17 プレスリリース C-配糖体の安定な炭素ー炭素結合を切断する酵素の機能と立体構造を解明

C-Glycoside metabolism in the gut and in nature: Identification, characterization, structural analyses and distribution of C-C bond-cleaving enzymes
Nature Communications, volume 12, Article number: 6294 (2021)

関連ページ:東京大学 大学院 薬学系研究科 天然物化学教室
筑波大学大学院 生命環境科学研究科 微生物育種工学研究室

Pu/EuCGDの構造図

九州大学 角田 佳充 教授との共同研究

Minimal protein-only RNase P structure reveals insights into tRNA precursor recognition and catalysis
Journal of Biological Chemistry, Volume 297, Issue 3, September 2021, 101028

関連ページ:九州大学 大学院 農学研究院 生物物理化学研究室

RNA 切断酵素RNasePの構造図

茨城大学 高妻 孝光 教授との共同研究

2021.07.21 プレスリリース 脱窒菌から取り出した亜硝酸還元酵素の構造解析に成功 高精度クライオ電子顕微鏡の画像を解析 環境浄化技術の開発に期待

2.85 and 2.99 Å resolution structures of 110 kDa nitrite reductase determined by 200 kV cryogenic electron microscopy
Journal of Structural Biology, Volume 213, Issue 3, September 2021, 107768

関連ページ:茨城大学 理工学研究科 量子線科学専攻

亜硝酸還元酵素の構造図

東京大学 勝山 陽平 准教授・大西 康夫 教授との共同研究

Structural and Functional Analyses of the Tridomain-Nonribosomal Peptide Synthetase FmoA3 for 4-Methyloxazoline Ring Formation
Angewandte Chemie, Volume60, Issue26, June 21, 2021, Pages 14554-14562

関連ページ:東京大学 大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 醗酵学研究室

非リボソームペプチド合成酵素FmoA3の構造図

クライオ電顕勉強会(千葉大学(村田 武士 教授)・Axcelead Drug Discovery Partners株式会社・アステラス製薬株式会社・小野薬品工業株式会社・第一三共RDノバーレ株式会社・武田薬品工業株式会社)での共同研究

2021.01.15 プレスリリース 副作用原因タンパク質hERGチャネルと薬剤の複合体構造を明らかにすることに成功 −重篤な副作用の回避にもクライオ電子顕微鏡解析が役立つ−

Cryo-EM Structure of K+-Bound hERG Channel Complexed with the Blocker Astemizole
Structure, Volume 29, Issue 3, 4 March 2021, Pages 203-212.e4

関連ページ:千葉大学 大学院 理学研究院 生体構造化学研究室 研究内容

hERG の構造図

東京大学 伏信 進矢 教授との共同研究

物構研ハイライト 2020.12.14 タンパク質の単粒子解析ってどうやるの?~二次元の画像データから 三次元の情報が得られるのはなぜ?~

Crystallographic and cryogenic electron microscopic structures and enzymatic characterization of sulfur oxygenase reductase from Sulfurisphaera tokodaii
Journal of Structural Biology: X, Volume 4, 2020, 100030

関連ページ:東京大学 大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 酵素学研究室

酸化還元酵素「硫黄オキシゲナーゼ/レダクターゼ」の構造図


クライオ電顕棟建設予定地(2021年8月6日撮影)
直線加速器に沿った銀杏並木が見える
クライオ電顕棟建設作業のようす(2021年9月23日撮影)
建設作業のようす(2021年9月28日撮影)
右奥に見えるのが構造生物実験準備棟、左奥は筑波山
建設作業のようす(2021年10月20日撮影)
建設作業のようす(2021年11月10日撮影)
建設作業のようす(2021年11月18日撮影)
建設作業のようす(2021年11月24日撮影)
建設作業のようす(2021年12月9日撮影)

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