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令和7年度 機構長賞・KEK技術賞 物構研から多数の受賞者

物構研トピックス
2026年1月22日

令和7年度の機構長賞および KEK 技術賞の表彰式が、1月7日、KEKつくばキャンパス小林ホールにおいて開催されました。機構長賞は今年度から新たに設けられた表彰制度で、「研究活性化表彰」と「機構運営高度化表彰」の二部門から構成されています。

機構運営高度化表彰は、基盤技術や装置の改善、省エネルギー化、さらには先進的な工夫や挑戦を通じて KEK の運営の高度化に貢献した職員に授与されるもので、物構研から 3 人の職員が選ばれました。研究活性化表彰は、外部資金の獲得を通じて KEK の研究活動の発展および持続的な研究基盤の強化に貢献した取り組みを称えるもので、物構研から 8 人が選ばれました。また、歴史ある KEK 技術賞は、特に有益な発明や開発、または改良を行った技術職員の功績を称える賞であり、本年度は機構全体で 4 人の職員が選ばれました。

物構研の令和7年度機構長賞受賞者。左から機構運営高度化表彰の大下 英敏 氏、本田 孝志 氏、研究活性化表彰の永谷 幸則 氏、伊藤 晋一 氏、下村 浩一郎

持続可能な運営戦略への取り組みが機構運営高度化表彰を受賞

機構運営高度化表彰は、物構研の本田 孝志 助教、大下 英敏 専門技師、大友 季哉 教授が受賞しました。 本田氏らは J-PARC の物質・生命科学実験施設(MLF)で「サイエンスダイバーシティの推進」を掲げ、高強度中性子全散乱装置(NOVA)の多目的化と研究を通じて、業務の効率化や合理化を進めるとともに、特定の担当者に頼らない「脱・属人化」という新しい観点を取り入れたグループ活動を展開し、その成果が評価されました。

幅広いサイエンスの知見(ナリッジ)がビームラインに集約されている現状を有効に活用するため、ユーザー調査からニーズを可視化すると同時に、脱・属人化を実現する基盤構築を行いました。実験環境を拡充するにあたり、装置の導入コストだけでなく、維持コストや専門知識を持つメンテナンス人材の確保が大きな課題となります。本田氏らはこの課題を他部署間連携によって解決し、稼働率の低い共用機器を利用すると同時に、人財不足を補完することに成功しています。

左上に「データ駆動型運営」、右上に「脱属人化」、左下に「ニーズに基づく連携」、右下に「ナリッジ共有」、中央に「新規学術分野の創成」とそれぞれに関連するイラストで描かれている

現在はニーズの可視化から新しい実験環境の導入に至るプロセスが定着し、DX(デジタルトランスフォーメーション)とデータ利活用によるビームライン運営の最適化基盤が整っており、蓄積されたナリッジをもとにした新しい学術創成のフェーズに移行しています。本田氏は、ユーザーだけでなく施設内の多様な人々とのコミュニケーションを密に取ることで、様々な視点から課題解決の糸口が見つかることの大切さを強調しています。

受賞に際し、本田氏は「この度は栄えある賞をいただき、身の引き締まる思いです。われわれ NOVA は、ユーザーニーズの可視化から迅速な実験環境の導入に至るプロセスを確立し、DX とデータ利活用による運営の最適化基盤を構築してきました。脱・属人化を実現したこの強固な基盤は、一つの完成形に到達したと考えています。現在、蓄積された幅広い科学分野のナリッジをもとに、イノベーションを加速させる『新しい学術分野創成』のフェーズへと移行しています。今後も分野の動向を先読みし、科学分野に一石を投じていく所存です」と意気込みを語りました。

研究活性化表彰・KEK技術賞の受賞者

研究活性化表彰では、物構研から伊藤 晋一 教授、梅垣 いづみ 助教、大友 季哉 教授、木村 正雄 教授、下村 浩一郎 特別教授、千田 俊哉 教授、永谷 幸則 特別准教授、望月 出海 助教の 8 人が受賞しました。機構全体では 27 人が受賞しています。

また、KEK 技術賞は「ラジオクロミックフィルム」を使って加速器の放射線量を測定する方法を提案するとともに、そのキャリブレーション(基準となる標準器と比較して誤差を測定し、調整・補正する作業)方法を確立し、これらによって、解析作業の迅速簡素化とコスト削減を成し遂げた加速器 6 系の塩澤 真未 准技師、田中 窓香 技師、加速器 5 系の設樂 暁 技術員、カナダの国立素粒子原子核物理研究所(TRIUMF)で行われているTUCAN国際共同実験で使用する大強度超冷中性子源用極低温熱交換器の製作をし、超冷中性子生成の成功に導いた功績が評価された機械工学センターの牛谷 唯人 准技師の 4 人が受賞しました。

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