梅垣いづみ氏
ミュオン科学研究系の梅垣 いづみ助教が、第7回(2026年)米沢富美子記念賞を受賞しました。米沢富美子記念賞は、日本物理学会が2019年に創設した賞で、物理学分野において優れた研究業績を挙げた女性会員を表彰・奨励することを目的としています。研究、教育、学会活動への貢献を総合的に評価し、毎年数名(最大5名程度)に授与されます。
受賞式は、9月に東京大学で開催される日本物理学会第81回年次大会において行われる予定です。
梅垣いづみ氏は、ミュオン特性X線を用いた非破壊元素分析およびミュオンスピン回転緩和(μSR)法を駆使し、リチウムイオン電池の高度解析において独創的な研究を展開するとともに、産業応用や学際研究も含めた国内外でのミュオンビームの活用を牽引している。
ミュオン特性X線を用いた元素分析では、電池内部のリチウムと電極に析出する金属リチウムの捕獲特性の違いに着目し、従来困難であった電池動作下における析出リチウムの非破壊検出・定量評価を実現した。本手法は、リチウムイオン電池のリサイクルや品質向上に大きく貢献することから、世界的に評価されている。また、μSR法を用いた研究では、世界で初めて、実用電池材料である負極グラファイト中のリチウムイオンの拡散を明らかにし、物性分野にとどまっていた本手法の有用性を化学分野へ広く普及させる道筋を切り拓いた。
このように、梅垣氏はその活躍が国内外で認められ、ミュオンビームの有用性やμSRの新規適応法を広く提示してミュオン科学の進展に大きく貢献していることから、米沢富美子記念賞の受賞に値する。
A: 充電された黒鉛負極に金属リチウムを析出させた試料のSEM像、B: 試料の模式図、C: リチウムに由来するミュオン特性X線の信号強度の充電容量依存性
全固体リチウム電池の負極材料 Li4Ti5O12 の結晶構造
この度は、栄誉ある賞をいただき、誠に光栄に思います。
このような賞をいただけたのは、いつも励まし、協力をしてくださった先生方と、自由に共同研究できる環境のおかげです。心より感謝申し上げます。
この受賞はさらに研究に励むよう、背中を押してくれたものと感じています。さらに発展させるべく研究に取り組みたいと思います。