IMSS

豊田智史氏、日本放射光学会奨励賞を受賞

物構研トピックス
2012年1月31日

1月7日、鳥栖市民文化会館にて開催された第25回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムにて、豊田 智史氏(東京大学放射光研究連携機構・特任助教)が日本放射光学会奨励賞を受賞しました。この賞は、日本放射光学会員である35歳未満の若手研究者を対象に、放射光科学に関する優れた研究成果に対して授与されるものです。

img1.JPG

授賞式の様子
日本放射光学会長・水木純一郎氏(関西学院大学教授:右)より賞状を授与される豊田智史氏(左)

受賞対象となった研究は「放射光光電子分光によるMOSFETゲートスタック構造の界面電子状態」です。MOSFET(Metal-Oxicide-Semiconductor Field-Effect Transistor)とは、ゲート電極の絶縁に金属酸化物の薄膜を使ったFET(電界効果トランジスタ)で、私たちの身の回りのさまざまな電子機器がの集積回路(LSI)によく使われています。より集積度の高いデバイスを開発するためには、集積回路の心臓部であるゲート絶縁膜を極薄化していく必要があります。
豊田氏は、フォトンファクトリーにおいて、光電子のスペクトル測定により化学状態の深さ方向分析を行なう手法の開発を一貫して行なってきました。そして開発した手法を放射光ビームラインで実際に検証し、高分解能で半導体薄膜の界面の化学状態や電子構造を解析することに成功しました。またこれらの経験を活かし、SPring-8の東大ビームラインBL7LSUにおいて、ナノ集光軟X線を利用した走査型顕微鏡(nanoESCA)開発の主要メンバーとして貢献しました。豊田氏の開発した深さ方向分析手法は、今後、先端的デバイスにおけるナノ多層薄膜材料の解析への応用が展開されていくことが期待されます。


◆関連サイト

◆関連記事

2011.07.21
ムーアの法則を超えて
2011.07.15
世界で初めて強相関電子を2次元空間に閉じ込めることに成功
2010.07.15
サイズを変えて導体から半導体へ
2008.08.21
絶縁体の界面に現れる金属
2005.11.17
コンピュータを高性能に