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和田 健氏、日本陽電子科学会奨励賞を受賞

物構研トピックス
2014年2月19日

KEK物構研 特別助教の和田 健氏が、日本陽電子科学会奨励賞を受賞しました。 この賞は、陽電子科学の分野で顕著な業績を上げ、将来の活躍が期待される研究者に対して2年に一度、授与されるものです。

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左から:日本陽電子科学会会長 白井 泰治 氏(京大院工・教授)、和田 健氏

受賞対象となった研究は、「KEK低速陽電子実験施設における低速陽電子ビーム強度の向上」です。低速陽電子実験施設は、KEKの電子陽電子入射器から得られる高エネルギーな陽電子を物質科学に利用できる 低エネルギーの陽電子(低速陽電子)に変換、取り出して利用しています。 和田氏は、この陽電子生成・低エネルギー変換ユニットの改造を行い、低速陽電子ビームの強度を従来より一桁向上させました。 そして、高強度な低速陽電子ビームを利用実験するためのビームラインの構築・整備を行い、ポジトロニウム負イオン(陽電子1個と電子2個)に関する研究や全反射高速陽電子回折(TRHEPD)実験の 新たな展開を可能にしました。 TRHEPD法を利用した研究は、物質最表面構造解析の画期的手法であり、陽電子の利用分野の拡大への寄与と、陽電子科学の発展性が高く評価されました。 また、気体中やナノ空孔中のポジトロニウム(電子と陽電子がペアになったもの)の消滅に関する研究についても評価され、今後の展開が期待されています。

低速陽電子のビーム強度増強の開発は、2013年の高エネルギー加速器科学研究奨励会 西川賞に続く受賞となります。


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