9月25日から27日にかけて、奈良春日野国際フォーラム甍(いらか)において、第11回文理融合シンポジウム「量子ビームで歴史を探るー加速器が紡ぐ文理融合の地平ー」を開催しました。
主催は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(物構研)、共催は、国立科学博物館、総合研究大学院大学、東北大学金属材料研究所、学術変革領域研究(A)「マルチスケールミューオンイメージングで『視る』:兆候から解明へ」、学術変革領域研究(A)「負ミュオン科学の新地平:物質・宇宙・人類をつなぐ知の融合」です。また、J-PARCセンター、大阪大学 核物理研究センター(RCNP)、日本中間子科学会、大阪大学フォアフロント研究センター・先端ミューオン科学による文理協力型学術創出プロジェクト、特定放射光施設ユーザー協同体(SpRUC) 文化財研究会、奈良県立橿原考古学研究所の協賛を得て開催しました。
本シンポジウムは、ミュオンに加え、放射光や中性子といった多様な量子ビームを活用する自然科学研究者と、歴史の解明に取り組む人文科学研究者が一堂に会する場として、2019年から継続的に開催しています。11回目となる今回は、3日間にわたり378名の参加者が、1300年の歴史と文化が息づく奈良春日野の地に集いました。
1日目は、10件の講演が行われました。古墳から出土した剣や銅鏡を対象に、ミュオンや各種量子ビームを用いて分析した事例に加え、航空レーザー測量を活用した古墳構造に関する研究成果が紹介されるなど、文化財研究における自然科学的手法の活用事例として参加者の関心を集めました。
また、文化財保存のための分析機器開発や、放射光X線照射による文化財への影響評価など、多岐にわたる研究成果が報告されました。さらに、先日プレスリリースを行った「名古屋城天守閣金鯱鉾」の研究成果について、研究グループによる講演が行われました。
1日目 参加者による集合写真(会場前にて)
2日目には、文理融合シンポジウム一般講演会「量子ビームで歴史を探るー加速器が紡ぐ文理融合の地平ー」を開催しました。一般の方や学生を対象として、現地とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で実施し、シンポジウム参加者に加え、現地67名、オンライン202名の一般参加者が聴講しました。
一般講演会では、以下の5件の講演が行われました。
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宇宙のはじまりの『非常識』高エネルギー加速器研究機構 機構長浅井 祥仁 氏 |
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要素還元論とホーリズム奈良県立橿原考古学研究所 所長青柳 正規 氏 |
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ミュオンによる文化財科学高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 特別助教反保 元伸 氏 |
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東北大学金属材料研究所110年の歩み―ものづくり文化の伝統と継承-東北大学金属材料研究所 所長・教授佐々木 孝彦 氏 |
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量子ビームでひらく科学と社会 ―見えないものを見る、狙って治す―大阪大学核物理研究センター センター長中野 貴志 氏 |
考古学や文化財科学、量子ビーム科学など、多様な分野の研究者が登壇し、専門的な研究成果をわかりやすく紹介しました。会場参加者やオンライン視聴者からも多くの質問が寄せられ、活発な議論が行われました。
講演会のアーカイブ動画は、後日YouTubeで公開予定です。
2日目 参加者による集合写真(能楽ホール)
3日目は、6件の講演が行われました。ガラスや刀剣を対象とした量子ビーム分析の研究に加え、歴史的文献や絵画、浮世絵から天文学や地学を読み解く研究など、さらに幅広いテーマが紹介されました。講演後には活発な質疑応答が行われ、分野を超えた議論が展開されました。
最後に、物構研ミュオン科学研究系の幸田章宏主幹による閉会のあいさつをもって、第11回文理融合シンポジウムは盛況のうちに閉幕しました。
3日目 参加者による集合写真(能楽ホール)
第11回文理融合シンポジウムの運営を支えた世話人・スタッフの皆さん