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藤田誠氏、唯美津木氏、日本化学会各賞を受賞

物構研トピックス
2013年4月 5日

平成24年度の日本化学会各賞が発表され、藤田誠氏(東京大学大学院工学研究科教授)が第65回日本化学会賞を、唯美津木氏(分子科学研究所准教授、名古屋大学 物質科学国際研究センター教授) が第1回女性化学者奨励賞を受賞しました。
日本化学会賞は、日本化学会会員であって、化学の基礎または応用に関する貴重な研究をなし、 その業績が特に優秀な者に授与するものです。また、今年度から新設された女性化学者奨励賞は、化学の専門性を活かした学術研究に傑出した業績と貢献がある者で、 社会貢献にも努め、国内外での研究活動・交流を通して我が国の女性化学者の地位向上に寄与し、将来の科学者・技術者を目指す学生や若手研究者の目標となる 日本化学会の女性会員(満40歳未満)に授与されます。

X線結晶構造解析によって決定した72成分から成る自己組織化球状物質の構造

藤田氏の受賞対象研究は「自己組織化によるナノスケール物質創成」です。藤田氏は、金属イオンと有機配位子の組み合わせにより、 配位結合を原動力として自動的に組み上がるさまざまな巨大分子を設計、創出しています。特に、チューブやケージ状の巨大中空構造体は、 ナノスケールの「容器」として非常に注目されています。これらの巨大化合物の構造の決定にはフォトンファクトリーでのX線結晶構造解析が使われています。

唯氏の受賞対象研究は「固体表面での分子レベル触媒構造の構築とその機能の可視化」です。触媒の多くは、固体表面状にさまざまな金属を含む構造が形成されています。 このような構造を自在に設計・構築する手段を確立したり、化学反応過程での触媒のナノスケールの動きを見ることは、より良い触媒の設計につながります。 唯氏は、固体表面上に制御された金属活性構造を作ることに成功し、XAFS法で活性中心の周りの局所構造を求め、高い選択性を持つ触媒のキーポイントを明らかにしました。 これは、より高い活性を持つ触媒の設計のための重要な情報です。また、フォトンファクトリーやSPring-8の放射光を利用した時間分解XAFS法で、 実際に使われている触媒のダイナミックな動きを捉えることにも成功しています。


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